
ホワイトニングで歯がしみる原因と対策
ホワイトニング後に歯がしみる、痛いと感じることは、多くの方が経験する一時的な症状です。なぜこのような症状が起こるのか、その原因と具体的な対策を知ることで、安心してホワイトニングを受けることができるでしょう。歯がしみる主な原因は、薬剤による知覚過敏が引き起こされることです。
ホワイトニング後の歯の痛みについて
ホワイトニング後に歯が痛む、しみるといった症状は、個人差があるものの、多くの場合、数時間から1日程度で収まります。長くても2日程度で痛みが和らぐことがほとんどです。しかし、2日以上経っても痛みが治まらない場合や、痛みがひどい場合は、神経の炎症など別の原因も考えられるため、施術を受けた歯科医院に相談することが重要となります。
知覚過敏とはどのような状態か
知覚過敏とは、虫歯ではないにもかかわらず、冷たいものや温かいもの、酸味の強いものを飲食した際や、歯ブラシが触れた時、風が当たった時などに、一時的に歯が「キーン」としたり「ズキッ」としたりする痛みのことです。健康な歯の表面はエナメル質に覆われており、痛みを感じることはありません。しかし、歯周病や加齢、不適切な歯磨き、歯ぎしりや食いしばりなどによって歯茎が下がり、歯の根元の象牙質が露出すると、刺激が神経に伝わりやすくなり知覚過敏の症状が現れます。知覚過敏による痛みは、刺激がなくなると消失する一過性のものが多いですが、継続的にズキズキとした痛みが続く場合は、知覚過敏以外の原因も考えられるため、歯科医院での診察が推奨されます。
ホワイトニングで歯がしみる仕組み
ホワイトニングで歯がしみる主な理由は、使用される薬剤、特に過酸化水素や過酸化尿素が歯の内部に浸透し、象牙質を刺激することにあります。健康な歯の表面はエナメル質という硬い組織で覆われており、その内側には神経につながる象牙質があります。エナメル質には神経が通っていないため、通常は痛みを感じることはありません。しかし、ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素や過酸化尿素は、歯の表面にある保護膜である「ペリクル」を一時的に除去し、象牙細管と呼ばれる無数の小さな管を通して象牙質に到達します。この際、象牙質が刺激されることで、神経にその刺激が伝わり、しみるような痛みや知覚過敏のような症状が現れるのです。特に、エナメル質が薄い人や、歯に細かいひび割れ(クラック)がある場合、歯周病などで歯茎が下がって象牙質が露出している場合は、薬剤が象牙質に直接触れやすくなるため、しみるリスクが高まります。これらの状態では、薬剤が象牙質や神経に近い部分に直接作用しやすくなるため、より強く刺激を感じることが理由として挙げられます。
ホワイトニング後の歯の痛みの主な原因
ホワイトニング後に歯が痛いと感じる原因はいくつか考えられます。主な原因としては、ホワイトニング剤の濃度が高い場合、歯にひびが入っている場合、歯が削れている場合、虫歯がある場合、そして歯周病が進行している場合が挙げられます。これらの問題がある場合、ホワイトニングの薬剤が歯の内部に浸透しやすくなり、痛みが生じやすくなるため、事前の歯科医院での検査と治療が重要です。
薬剤の濃度が高い場合
ホワイトニング剤の濃度が高いほど、短時間で高い効果が期待できますが、その分、歯の奥にある神経や象牙質の近くまで薬剤が浸透しやすくなり、歯がしみる原因となります。濃度が高い薬剤は、歯の表面を一時的に脱水状態にするため、通常よりも刺激に敏感になりやすいのです。特にオフィスホワイトニングでは高濃度の薬剤を使用するため、痛みが強く出ることがあります。痛みが苦手な方や、知覚過敏の症状がある方の場合、高濃度薬剤によるホワイトニングはできない、あるいは慎重に検討すべきであるといえます。もし痛みが心配な場合は、歯科医師に相談し、低濃度の薬剤の使用や、施術時間の調整を検討してもらうことが大切です。
歯にひびが入っている場合
歯の表面にあるエナメル質に細かいひび(クラック)が入っている場合、そこからホワイトニング剤が内部に浸透しやすくなり、象牙質や神経を刺激して痛みを感じることがあります。歯ぎしりや食いしばりの癖がある人は、エナメル質が摩耗しやすく、小さな亀裂ができやすい傾向にあります。このような状態の歯でホワイトニングをしたいと考えても、ひび割れが原因で強い痛みが生じる可能性があるため、先にひびの治療を優先する必要があるでしょう。治療せずにホワイトニングを行うと、痛みが悪化したり、歯にさらなるダメージを与えたりする可能性も考えられるため、安全なホワイトニングのためには、事前の歯科医院での検査と適切な処置が不可欠です。
歯が削れている場合
歯ぎしりや食いしばりによって歯の先端のエナメル質が削れている場合や、歯の根元が楔状に欠損している場合も、ホワイトニングで歯がしみる原因となります。エナメル質が削れることで、その下にある象牙質が露出し、ホワイトニング剤が象牙質に直接触れて刺激を与えてしまうためです。象牙質は神経につながる象牙細管という無数の管があるため、刺激を受けやすい部分です。また、強すぎるブラッシングや研磨剤入りの歯磨き粉の使用によって歯の根元が削れる「くさび状欠損」も知覚過敏の原因となります。このような状態の歯でホワイトニングをしたいと思っても、まずは削れて露出した象牙質を保護する治療を優先しなければ、強い痛みを伴う可能性があります。事前に歯科医院で歯の状態を確認してもらい、適切な処置を受けてからホワイトニングを行うことが、安全で効果的な施術のために重要です。
虫歯がある場合
虫歯がある状態でホワイトニングを行うと、薬剤が虫歯によってできた歯の穴や、詰め物の隙間から直接象牙質や神経に浸透し、痛みを感じることがあります。虫歯は歯のエナメル質が溶けて穴があいた状態であり、エナメル質に保護されていないため、薬剤の刺激がダイレクトに伝わってしまうのです。虫歯がある場合は、ホワイトニングよりもまず虫歯の治療を優先することが必要です。治療途中で仮詰めをしている場合も、薬剤によって詰め物が剥がれてしまう可能性があるので注意が必要です。虫歯は自然には治らないため、痛みを伴うホワイトニングを避けるためにも、事前に歯科医師に相談し、適切な治療を済ませてからホワイトニングを行うようにしましょう。
歯周病が進行している場合
歯周病が進行している場合、歯茎が下がって歯の根元にある象牙質が露出してしまうことがあります。象牙質はエナメル質に比べて神経に近いため、ホワイトニング剤が直接触れることで痛みを感じやすくなります。歯周病がある人がホワイトニングをすると、薬剤の刺激によって痛みが出たり、歯周組織に悪影響を及ぼす可能性もあるため、原則としてホワイトニングの前に歯周病の治療を優先する必要があります。歯周病の治療では、歯石除去などによって一時的に知覚過敏の症状が出ることがありますが、汚れが溜まったままにすると歯周病が悪化してさらに歯茎が下がる原因となるため、まずは歯周病を完治させることが重要です。治療が完了すればホワイトニングも可能となるため、歯科医師と相談し、適切な治療計画を立てるようにしましょう。

ホワイトニング後の歯の痛みへの対処法
ホワイトニング後に歯がしみる、痛いといった症状が出た場合でも、自宅でできる対処法や歯科医院での専門的なケアで痛みを和らげることが可能です。具体的には、知覚過敏用の歯磨き粉の使用、刺激物の摂取を避ける、市販の鎮痛剤の服用、歯科医院でのコーティング、そしてホームホワイトニングにおけるマウスピースの装着時間の調整などが挙げられます。これらの対処法を試すことで、ホワイトニング後の不快な症状を軽減し、快適に過ごせるようになるでしょう。
知覚過敏用の歯磨き粉を使用する
ホワイトニング後のしみる症状には、知覚過敏用の歯磨き粉の使用が効果的です。これらの歯磨き粉には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどの成分が含まれており、歯の神経への刺激を和らげたり、象牙細管を封鎖して刺激が伝わりにくくする効果が期待できます。日常的に知覚過敏用の歯磨き粉を使用することで、ホワイトニング後の痛みを軽減できるだけでなく、事前に使用することで痛みの予防にもつながります。また、フッ素が高濃度で配合された歯磨き粉も、歯のエナメル質を強化し、知覚過敏を抑える効果が期待できます。市販で手軽に購入できる知覚過敏用の歯磨き粉も多く、研磨剤が無配合のものもおすすめです。「シュミテクトやさしくホワイトニングEX」や「クリニカPRO」、「ブレスマイルクリア」などが知覚過敏のケアとホワイトニング効果を両立できるとされています。
刺激物を避ける
ホワイトニング直後の歯は、薬剤によって歯の表面の保護膜であるペリクルが一時的に剥がれているため、非常にデリケートな状態であり、刺激を受けやすくなっています。そのため、ホワイトニング後1日~2日程度は、熱すぎるものや冷たすぎるもの、辛いもの、酸性の強いものなどの刺激物を避けるように心がけましょう。例えば、レモンや柑橘類、炭酸飲料、スポーツドリンク、酢を使った料理などは、歯のエナメル質を溶かしやすく、知覚過敏の原因となる酸を多く含んでいるため注意が必要です。また、色の濃い飲食物(カレー、コーヒー、紅茶、赤ワインなど)も、一時的に歯の着色汚れの原因となるため、避けることが推奨されます。これらの刺激物をできるだけ控えることで、歯への負担を軽減し、しみる症状の悪化を防ぐことができます。ペリクルは通常12~48時間で再生すると言われているため、その間は特に食事内容に気を配ることが大切です。
市販の鎮痛剤を服用する
ホワイトニング後の痛みがひどく、日常生活に支障をきたす場合は、市販の鎮痛剤を服用することも一つの対処法です。ロキソニンなどの一般的な鎮痛剤は、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、服用する際は、必ず薬剤の用法・用量を守り、自己判断せずに歯科医師に相談した上で使用することが重要です。痛み止めは一時的に症状を抑えるものであり、根本的な解決にはなりません。痛みが数日経っても治まらない場合や、痛みが悪化する場合は、知覚過敏以外の原因(虫歯や神経の炎症など)が考えられるため、速やかに施術を受けた歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
歯科医院でコーティングしてもらう
ホワイトニング後の知覚過敏の症状が続く場合や、痛みを強く感じる場合は、歯科医院で歯をコーティングしてもらう方法があります。コーティング治療は、歯の表面に薄い保護膜を塗布することで、露出した象牙質を覆い、外部からの刺激を遮断し、痛みを軽減する効果が期待できます。この治療は、特に歯ブラシや冷たいものがしみる症状の緩和に有効です。コーティングの効果は即効性があり、施術直後から症状の緩和が期待できることが多いですが、持続期間は個人差があり、数ヶ月から半年程度が目安とされています。効果を最大限に引き出すためには複数回の塗布が必要な場合もあり、また、歯ぎしりや食いしばりの癖があるとコーティングが剥がれやすくなることもあるため、定期的な再治療が必要になることもあります。歯科医院によっては、知覚過敏治療の一環として保険適用となる場合もありますので、費用についても事前に確認すると良いでしょう。歯科医師に相談し、自身の歯の状態に合わせた最適なコーティング剤や治療計画を提案してもらうことが大切です。
マウスピースの装着時間を調整する
ホームホワイトニングで歯がしみる場合は、マウスピースの装着時間を調整することも有効な対処法の一つです。歯科医師から指示された装着時間でしみる症状が出る場合は、一度装着時間を短くしてみましょう。例えば、毎日ではなく週に数回に減らしたり、装着時間を半分にしたりすることで、歯が刺激から回復する時間を与えることができます。装着時間を短くして痛みが和らぐようであれば、少しずつ時間を伸ばしていくことで、無理なくホワイトニングを続けることが可能です。ただし、独断で大幅に使用方法を変えると効果が十分に得られない場合もあるため、必ず歯科医師に相談しながら調整することが大切です。

まとめ
ホワイトニング後に歯がしみる、痛いと感じるのは、多くの場合、薬剤による一時的な知覚過敏が原因です。通常は数時間から2日程度で症状は治まりますが、それ以上続く場合は他の原因が考えられるため、歯科医院での診察が必要です。原因としては、ホワイトニング剤の濃度が高い場合、歯にひびや削れがある場合、虫歯や歯周病がある場合などが挙げられます。対処法としては、知覚過敏用歯磨き粉の使用、刺激物の摂取を避ける、鎮痛剤の服用、歯科医院でのコーティング、マウスピースの装着時間の調整などがあります。ホワイトニングを安心して受けるためには、事前に歯科医院でしっかり検査を行い、自分の歯の状態に合った施術方法を選択することが重要です。