
鏡を見たときに歯の黄ばみやくすみが気になり、口元に自信が持てなくなった経験は多くの方にあるのではないでしょうか。
歯は顔の印象を大きく左右するパーツのひとつであり、歯が白く清潔感があるだけで、若々しく明るい印象を与えることができます。
そのため、歯の色にコンプレックスを抱いていたり、もっと白くしたいと考えたりする方は年々増えています。
そうしたニーズの高まりとともに注目されているのが歯科ホワイトニングです。
歯科医院で行う医療ホワイトニングや、自宅で行うホームホワイトニングなど、方法は複数存在しますが、これらの多くで中心的な役割を果たしているのが「過酸化水素」という成分です。過酸化水素は、歯を白くする作用を持つ薬剤として古くから研究され、現在では医療ホワイトニングに欠かせない存在となっています。
しかし、「過酸化水素と聞くと危険なのではないか」「歯に悪影響はないのか」と不安に感じる方も少なくありません。
そこで本記事では、ホワイトニングにおける過酸化水素の役割や歯が白くなる仕組み、安全性や注意点、さらに他の薬剤との違いまで、歯科的な視点から詳しく解説していきます。
正しい知識を身につけることで、安心してホワイトニングを検討できるようになるでしょう。
過酸化水素の作用と歯が白くなるメカニズム
ホワイトニングによって歯が白くなる理由を理解するためには、まず過酸化水素がどのように歯に作用するのかを知る必要があります。
歯の色は単なる表面の汚れだけでなく、歯の内部構造や色素の蓄積が複雑に関係しています。
過酸化水素は、そうした歯の色の原因に直接働きかける薬剤です。
歯の着色汚れを分解する作用
過酸化水素は強い酸化作用を持つ化学物質です。私たちの歯は、日常的に摂取する飲食物や嗜好品の影響を受けています。
コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーといった色の濃い食品、さらにはタバコに含まれるタールなどは、歯の表面や内部に色素として蓄積されやすく、これが黄ばみやくすみの原因となります。また、加齢によって歯の内部にある象牙質の色が濃くなり、それが透けて見えることも歯が黄ばんで見える要因のひとつです。
過酸化水素は、こうした有機物由来の色素に対して酸化反応を起こし、分子構造を分解します。
色素分子が分解されると光を吸収しにくくなり、結果として無色に近づきます。
この作用によって歯全体の色調が明るくなり、白さが回復していくのです。
単に表面の汚れを落とすクリーニングとは異なり、歯の内部にまで作用する点が、ホワイトニングの大きな特徴と言えます。
過酸化水素が分解されるとどうなる?
ホワイトニング剤に含まれる過酸化水素は、歯に塗布されると化学反応を起こし、水と酸素に分解されます。
この過程で発生するのがフリーラジカルと呼ばれる活性酸素種です。
この活性酸素は非常に反応性が高く、歯の内部に存在する色素分子と結合することで、それらを分解し、無色化する働きを持っています。
さらに、過酸化水素による作用は色素の分解だけにとどまりません。
エナメル質の表層に微細な構造変化が生じることで、光の反射や散乱の仕方が変わり、内側の象牙質の黄色みが目立ちにくくなる現象が起こります。
これをマスキング効果と呼びます。この相乗効果によって、歯は実際以上に白く、明るく見えるようになります。
重要なのは、このプロセスが歯を削ったり、歯の構造そのものを破壊したりするものではないという点です。
適切に使用される限り、歯の健康を損なうことなく色調を改善できるのが、過酸化水素を用いたホワイトニングの大きな特徴です。

過酸化水素と過酸化尿素の違い
ホワイトニングに使用される薬剤としては、過酸化水素のほかに過酸化尿素もよく知られています。
これらは似た性質を持ちながらも、使用される場面や作用の仕方に違いがあります。
それぞれの薬剤が使われるホワイトニングの種類
過酸化水素は、主に歯科医院で行うオフィスホワイトニングに使用されます。
オフィスホワイトニングでは高濃度の薬剤を短時間で作用させるため、即効性が求められます。
そのため、直接的に強い漂白作用を持つ過酸化水素が適しているのです。
一方、過酸化尿素はホームホワイトニングで使用されることが一般的です。
過酸化尿素は、唾液や水分に触れることでゆっくりと分解され、過酸化水素を生成します。
そのため、作用が穏やかで、時間をかけて歯を白くしていくことができます。この特性は、自宅で安全に使用するホームホワイトニングに適しています。
薬剤の濃度について
薬剤の濃度は、安全性と効果のバランスを考慮して設定されています。
オフィスホワイトニングで使用される過酸化水素は、一般的に15%から40%程度と高濃度です。
これにより、短時間で明確なホワイトニング効果を得ることが可能になります。
ただし、この濃度の薬剤は専門的な知識と管理が必要であり、歯科医師や歯科衛生士の管理下でのみ使用されます。
一方、ホームホワイトニングで使用される過酸化尿素は、過酸化水素に換算するとおよそ10%から22%程度と低濃度です。
低濃度である分、作用時間を長く設定し、毎日継続して使用することで歯を白くしていきます。
この方法は歯の内部までじっくり作用し、白さが長持ちしやすいという特徴があります。

過酸化水素を使ったホワイトニングの安全性
過酸化水素という言葉から、刺激が強く危険なイメージを持つ方も少なくありません。
しかし、歯科医療の現場では安全性を十分に考慮した上で使用されています。
歯科医院での使用における安全性
歯科医院で行われるホワイトニングでは、歯肉や粘膜を保護するための処置が徹底されます。
薬剤が歯以外の部分に触れないように保護材を使用し、施術中も専門家が状態を確認しながら進めていきます。
また、施術前には必ず口腔内の検査が行われ、虫歯や歯周病がないか、ホワイトニングに適した状態かどうかが確認されます。
日本国内で使用される過酸化水素の濃度は、人体への影響を考慮した範囲に制限されており、適切な使用であれば安全性は高いとされています。
薬剤の濃度と安全性
過酸化水素は濃度が高いほど効果が強まりますが、その分刺激も強くなります。
そのため、高濃度の薬剤は必ず専門家が管理する必要があります。
自己判断で高濃度の薬剤を使用することは、歯や歯茎に深刻なダメージを与える可能性があるため非常に危険です。
注意が必要なケース
すべての人がホワイトニングに適しているわけではありません。
妊娠中や授乳中の方、無カタラーゼ症の方、重度の歯周病や未治療の虫歯がある方などは、事前に慎重な判断が必要です。
知覚過敏が強い方も、症状が悪化する可能性があるため、歯科医師と十分に相談することが重要です。
過酸化水素を使ったホワイトニングのデメリット
ホワイトニングには多くのメリットがありますが、デメリットも理解しておくことが大切です。
施術中に歯が痛い、しみると感じる場合
施術中に歯がしみたり、軽い痛みを感じたりすることがあります。
これは過酸化水素が歯の内部に浸透し、神経を刺激するために起こる一時的な反応です。
多くの場合、施術後しばらくすると自然に治まります。
施術後に起こりうる知覚過敏
施術後に冷たい飲み物などで歯がしみることがありますが、これも一時的な症状であることがほとんどです。
症状が長引く場合は、歯科医師に相談することで適切な対処が可能です。
オフィスホワイトニングとホームホワイトニング
オフィスホワイトニングは短期間で効果を実感できる即効性が魅力であり、専門家による管理下で安全に行われます。
一方、ホームホワイトニングは時間をかけて自然な白さを目指し、白さが長持ちしやすい方法です。
どちらも過酸化水素、あるいはそれに由来する薬剤の特性を活かした方法であり、目的やライフスタイルに応じて選択することが重要です。
歯を白くすることは見た目の印象を大きく変え、自信にもつながります。
正しい知識を持ち、自分に合った方法を選ぶことで、安全かつ満足度の高いホワイトニングを実現することができるでしょう。